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炭酸飲料と肥満について

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まとめ

果糖を多く含む異性化糖は、炭酸飲料に代表される清涼飲料水のような形で頻繁かつ大量に摂取することができ、また食物繊維を含まないため一気に吸収される。そのため、以下で説明するような大量摂取時の悪影響が起こりやすい。

成分表示でブドウ糖果糖液糖や果糖ブドウ糖液糖などの異性化糖を含む炭酸飲料のような食品を大量に摂取していると、メタボリック症候群になりやすいということだ。

炭酸飲料に含まれる糖分

炭酸飲料にはブドウ糖果糖液糖や砂糖が沢山入っていることが多い。

加工食品、特に炭酸飲料によく含まれている「ブドウ糖果糖液糖」は、他の果糖ブドウ糖液糖や高果糖液糖などと合わせて「異性化糖」と呼ばれる。この異性化糖とはブドウ糖(グルコース)を酵素で反応させ、ブドウ糖の一部を果糖(フルクトース)に変化(異性化)させたものである。つまり異性化糖とはブドウ糖と果糖が混ざったものであるといえる。

名前の違いは異性化させてできた果糖の割合いにより、ブドウ糖果糖液糖:50%未満、果糖ブドウ糖液糖:50~90%未満、高果糖液糖:90%以上、である。

なお砂糖の主成分はショ糖(スクロース)であるが、このショ糖はブドウ糖と果糖が1対1で結合したものであり、またこの結合は小腸内で短時間に分解されるため、砂糖とブドウ糖果糖液糖は人体にとって似たような影響があると言えそう。

異性化糖の特徴

異性化糖は以下の様な特徴を持っていて企業にとってとても都合が良く、異性化糖がよく使われる原因となっている。

・低温時に甘みを感じやすいため冷やして食べる食品に使いやすい(逆に砂糖は低温で甘みを感じにくい)。
・砂糖に比べて基本的な甘みが強い。
・砂糖に比べて口に甘みが残りにくく、さっぱりしている。
・砂糖よりも安い(たぶん同じ重量当り)
・常温で液状で、かつ粘性が少ないため、輸送や貯蔵がしやすい。
・さつまいもやトウモロコシのデンプンからから得られるブドウ糖はそのままでは砂糖の代替として不向きだが、異性化糖に加工することで上記のような利点が生まれる。よってデンプンの使い道の一つとして有用。

果糖の悪影響

人体内で主要なエネルギー源として使われているのはブドウ糖で、デンプンなども腸でブドウ糖に分解されてから体内で使われている。ブドウ糖は肝臓に一時的に留める調節機構があるため、多めに入ってきても通常は一気に処理されることはない。一方、果糖にはそのような調節機構がないため、大量に入ってくると常に一気に処理される。

ブドウ糖も果糖も代謝される過程でピルビン酸を生じるが、大量の果糖を一度に摂取すると、前出のように一気に処理されるため多量のピルビン酸が生じる。このような大量のピルビン酸は、通常のようなATP等のエネルギー生産には使い切れず中性脂肪の生成が行われるため、肥満、特に内臓脂肪の増加につながる。

このように果糖の大量摂取はブドウ糖よりも肥満になりやすい上に、肝臓を忙しくしてしまうために肝臓への負荷も高いようだ。

果糖はハチミツや果物に多く含まれるものだ。個人的な想像だが、秋に多く取れる果物から果糖を取り、冬に向けて効率的に脂肪を蓄えるためにこのような仕組みになっているんじゃないかと思われる。

ブドウ糖の悪影響

基本的にブドウ糖の摂取は血糖値の上昇につながる(血糖値とは血中のブドウ糖濃度そのもの)。通常この濃度はインスリンなどによって一定に保たれているが、大量のブドウ糖摂取などによって過度に上昇した場合には肥満や糖尿病につながる。このあたりの説明はネット上に沢山あるので割愛する。

なお前出のように肝臓にはブドウ糖を一時的に貯蔵する機能があるが、貯蔵能力の限界もあり、また脂肪肝になっているとこの仕組が働きにくくなるそうだ。

炭酸飲料には食物繊維がほとんどない

これまで書いたように果糖やブドウ糖が体内に一度に大量に入るといろいろ問題があるわけだが、炭酸飲料には食物繊維がほとんどないため、この「一度に大量」が起きやすくなる。

逆に野菜などの食物繊維を事前にとっておけば、小腸からの吸収が緩やかになり悪影響が軽減できる。炭酸飲料が好きな人は食物繊維を同時に取るようにするとよさそう。

参考

異性化糖 - Wikipedia
果糖の代謝
[解説]高カロリー輸液施行中に認められるアシドーシス
食品の果糖添加が肥満を増やす? 「甘い問題」に解決策-日本生活習慣病予防協会-トピック