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はじめに
SwitchやPS4などのゲーム機でカラオケソフトを使う際に、自分の声が遅れて聞こえるというトラブルがよくあります。本記事では、その原因や対策についてまとめています。
(参考:遅延が起きている映像)
遅延が起きる原因
遅延が起きる原因として大きく以下の1から3まで考えられます。1、2も確実にわずかな遅延を生んでいると思いますが、一般的には3のテレビの遅延の影響が大きいようで後であげる対策も主に3についてになります。
(1)USBマイク
声がUSBマイクの内部の回路で処理される際に少し遅延が起きる。ただしここが大きい問題になることは多くなく、カラオケソフトメーカーが公式に奨めているマイクを使っていれば目立った問題は起きないはずです。
(2)Switch/PS4/PS3本体
ゲーム機内部のハードあるいはソフトウェア処理での遅延が起きる。
ここはカラオケ以外のゲームでも同じ話であり、タイミングがシビアな格闘ゲームなどでは致命的になるところである。つまりちゃんと格闘ゲームができている以上、回路に根本的な問題はないと仮定でき、ソフトウェアもちゃんと作ってあれば目立った遅延は起きないと期待できる。
ただしここでPS3用のJOYSOUND Diveにはソフト固有の話があり、当初のソフトウェアが良くなくてHDMI端子を使って出力していた際に限って目立った遅延があったらしい。工夫してHDMI端子以外を使うことで回避できるワザもあったようですが、2012年3月にソフトが更新されたことでこの問題はほぼ解消されているようです。(参考リンク1)
ネットを検索するとJOYSOUND DiveのHDMIでの遅延の話がたくさん出てきますが、2012年3月以前の書き込みであれば無視してもよさそうです。
(3)テレビ
現在はハイビジョン(HDTV)対応のテレビが普通です。以前の放送はアナログでしたがハイビジョンはデジタルです。ここが大きな遅延要因になります。
アナログ処理は大ざっぱに言えば電気回路を電気が流れる速さで処理されるので、遅延が起きにくい傾向があります。一方デジタル処理は、データをバッファに貯めてから処理したり、ハードより遥かに遅いソフトウェア的に処理したり、何かと遅延要因が多いです。特に映像をきれいに加工するために前後の映像を使う場合があり、この場合は必要な画面を何枚か蓄積して加工したあとに送り出すという手順になるため、待たされる分の遅れが生じます。「倍速モード」と呼ばれる機能が(名前の印象とは逆に)この遅延の代表格のようです。
普通のテレビ番組のように一方的に流れるだけの場合はこの遅延は全く問題にならないためこのような悠長なやり方をしているのですが、状況によってこの遅延が顕在化することがあります。
例)
一刻を争う地震などの緊急放送がユーザーに届くのが遅れる。
ゲーム、特に格闘ゲームやシューティングゲームにおいて、当てたはずの攻撃が当たってない、もしくはかわしたはずの攻撃が当たっている。
カラオケで自分の声が遅れて聞こえる。
許容される遅延量について
人間が音がずれたと感じないようにするには、遅延をおよそ200ms以下、できれば150ms以下に抑える必要があるようです。(参考リンク2)(参考リンク3)(参考リンク4)
(ms = ミリセカンド、1msは1/1000秒)
なおハイビジョンの主な規格は59.94フレーム/秒で、1フレーム当りの時間は約16.7ms。遅延を150msと仮定するとフレーム数は約9フレーム。つまり遅延がハイビジョン画像換算で9フレーム以内ならカラオケに使うのに違和感がないことになります。フレーム数で換算したのは、テレビの遅延についてはフレーム数で語られることが多いからです。
ちなみにフレームとは、パラパラ漫画における1枚の紙に相当します。
テレビの遅延状況
ゲーム好きな有志がテレビの遅延についてまとめてくれています。
ゲームに適した液晶テレビまとめ @ ウィキ - トップページ
ここに載っている機種だと、通常モードで2~6フレーム、ゲームモードで2~4フレーム、という遅延のようです。ゲーム好きな人の選定なので、ここに乗ってないテレビはもっと遅いかもしれません。
この項でとり上げたのは原因であげた3についてだけですので、全体としてはそれ以外の要因1,2が加わりますので、ここから多少遅延が増えることになります。全体として、このような事情で歌声が遅れるという現象が起きています。
対処方法
対処方法1:メーカー推奨のマイクを使う
原因1のマイクについてはメーカー推奨機種を使うのが無難です。それにより遅延が大きいマイクを避ける事ができるはずです。
JOYSOUND Wiiの場合はソフトに付属のもの、PS3用のJOYSOUND Diveの場合は公式の推奨マイクがあります。それぞれ以下のリンクの先を参照して下さい。
カラオケJOYSOUND Wii SUPER DX お買い得版 ;紹介している製品自体がマイク付き
Wii カラオケ U ;JOYSOUND Wii用のマイクも使えます
JOYSOUND DIVE ;補足欄を参照
対処方法2:ソフトのバージョンを最新にする
原因2のゲーム機内部についてはあまりできることがありませんが、ゲーム機のシステムソフトとゲームソフトのバージョンを最新にしておくと参考リンク1のような問題対処を早く取り込めます。
対処方法3:ゲームモード
原因3のテレビでの遅延についてですが、ここまででも少し上げたように「ゲームモード」というのが解決の糸口になります。
ゲームモードとは、テレビ内部での遅延がゲームに悪影響を及ぼすと叩かれことを受けて作られた機能で、テレビ内部で発生する遅延を(0にはできないまでも)できるだけ少なくするある種の「設定」です。普段のテレビ視聴には有効だが、遅延を生んでいてかつゲームプレイに必須でない機能を一括してOFFに設定することができる機能、と理解していただければ大体あっているはずです。
そのような機能であるため、各メーカーで名称や機能がそろったものではないのですが、例えば東芝のレグザに搭載されているものは下のような説明がされています。この「ゲームダイレクト」というのがレグザにおけるゲームモードということになります。あるいは新しい機種では「3Dゲーム・ターボ」という機能の中にゲームモード相当の機能が含まれているようです。
搭載機能/ゲームダイレクト|液晶テレビ|REGZA:東芝
搭載機能/3Dゲーム・ターボ|液晶テレビ|REGZA:東芝
その他にもテレビで「ゲーム対応」を謳っている場合は遅延抑制に関連している場合があります。そこに注目して下さい。
Amazonのテレビを「ゲーム」で検索
※これは機械的なキーワード検索です、それぞれの機種でのゲームモード有無やゲームへの向き不向きは各自で仕様やカスタマーレビュー情報などを確認して下さい。
注意:
なおテレビ機種によって元々の遅延量も異なりますし「ゲームモード」の効き具合も異なります。よって当方ではテレビを「ゲームモード」にすることでカラオケの音声遅延を解消できることはあると言えますが、必ずしも全ての遅延を解決できるという保証はできません。あくまで参考情報として理解して下さい。よろしくお願いします。
対処方法4:音声はテレビを通さない
本記事では詳しくは書きませんが、Switch/PS4/PS3の音声出力をテレビに入力せず、AVアンプなどに入力して音を鳴らすことでテレビの遅延を回避することができます。これによってテレビでの音声遅延を0にできるので、ユーザーへの聞こえ方については劇的に効果があります。
ただしこれを行っても画像の遅れはそのままになり音声とのタイミングが一致しないため、使いにくさが残るかもしれません。
参考リンク
参考リンク1:JOYSOUND diveの音声遅延、音質改善について 環境は PS3:40GB ネット環境:... - Yahoo!知恵袋
参考リンク2:パケット音声ネットワークの遅延について - ボイス : 音声品質 - Cisco Systems
参考リンク3:客観的音声品質評価法を用いた VoIP の音声品質の測定と評価 (pdf)
参考リンク4:映像と音声のタイミングおよび速度の違いが単語音声認知に及ぼす影響 (pdf)
以上
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